プロダクトオーナー役を決める2つの方法
みなさんこんにちは。@ryuzeeです。
Two common ways to apply the product owner roleという記事が分かりやすかったので抜粋・意訳にてご紹介します。
ここでは誰がやるべきかという点で書かれていますが、それ以前の話で、日本だと「プロダクトオーナー不在」とか「プロダクトオーナーが誰だかわからない」といった悩みを聞くことも多いです。 PO不在だと作った物(作るもの)に価値があるかどうか誰も分からないのでプロジェクトがうまく進まないし、結果的に大量にムダな作業をしてしまうこともあります。 そうならないようにプロジェクトの初期の段階でそのプロジェクトには誰が関わっているのか、意思決定は誰がするのか(=誰が結果責任取るのか?その人がPOだ!)について確認する必要があります。
プロダクトオーナー役を決めることはなかなか大変だ。ひとつとして世の中に同じプロダクトは存在しない。 プロダクトやプロジェクトは様々だが、この役割を担ってもらう際には2つのよくあるやり方があることに気づいた。それは顧客か、またはプロダクトマネージャに顧客プロキシとして、プロダクトオーナー役を頼むことだ。この記事ではそれぞれの利点や難しい点をあげながらどちらの選択肢がより適切なのかについて議論してみたい。
顧客がプロダクトオーナー役をする
プロダクトオーナー役を決める1つ目の方法は、顧客にこの役を依頼することだ。この選択肢はカスタムメイドの開発の際に特に有効だ。たとえば企業のマーケティンググループのためのWebアプリケーションを開発する場合(社内の開発チームでも外部のソフトウェア開発会社でもどちらでも良い)には、マーケティンググループのメンバーの1人がプロダクトオーナー役を担う。これを図示すると以下のようになる。
図1
利点
顧客はソフトウェアの開発を直接的に操りコントロールすることができる。これによって顧客がプロダクトを自分のものとして扱い、意思決定を素早く行い、顧客の要求にあったプロダクトを創り上げられる可能性が高くなる。
課題
顧客は常に対応が可能な状態にあり、能力を持っており、プロダクトの成功のための権限が与えられている必要がある。顧客とチームは透明性を重視し、健全な状態で信頼関係の上で開発を行わなければならない。後者については、特に顧客と開発チームが異なる関心(例えばできる限り必要不可欠な機能を出荷したい vs 収入を最大化したい)といった場合や、過去に協調してプロジェクトを進めることが困難だったような場合には、大きな課題となるだろう。
顧客プロキシがプロダクトオーナー役をする
別の方法として、顧客とプロダクトオーナー役を切り離す選択をすることもできる。この選択肢は複数の顧客向けに開発されるようなソフトウェア(たとえば商用製品を開発する場合や、社内で開発したソフトウェアを同一企業内の複数の部署で利用する場合)の場合に適用可能だ。どちらのシナリオでも、プロダクトオーナーはユーザーや顧客からアイデアや要求を聞くプロキシとして振る舞い、それだけでなくいつどの機能を出荷するかを決める。まとめると図2のようになる。
図2
商用ソフトウェアの開発においては、プロダクトマネージャがプロダクトオーナーの役割を担うのが一般的だ。社内開発されるソフトウェアの場合はプロジェクトマネージャかビジネスアナリストがプロダクトオーナー役をする。図2では主なコミュニケーションパスを図示している。チームメンバーはたとえば製品をよくするために議論するスプリントレビューなどにおいては直接顧客やユーザーと会話する。(ただしどの改良を実装するかについては最終的にはプロダクトオーナーが決める)
利点
顧客とプロダクトオーナー役を分離することで、選ばれた全てのニーズに対応した製品を作りやすくなる。また適切なスキルをもったフルタイムのプロダクトオーナーを雇うきっかけになるかもしれない。それによってプロダクトマネージャやプロジェクトマネージャやビジネスアナリストは自分の役目を果たすことに集中できるようになるだろう。
課題
プロダクトオーナーへの権限委譲は実現することが困難かもしれない。プロダクトオーナーは必要な意思決定を行ったり、強い影響力をもつ人に対してNOと言ったり、ステークホルダーとの調整を行うが、そのためには信頼が必要とされ、また上級管理職からのサポートが必要だ。ITを商品とみなしているような会社においては、プロダクトオーナーシップを発揮したりプロダクトオーナーを育てることに対する投資を行うことは困難だろう。
状況によって使い分ける
まずはあなたが上で述べたようなパターンを個々のプロダクトに適用してみることを勧める。違う言い方をすると、プロダクトは顧客または顧客プロキシによって推進されなければならない。しかしあなたが自分のポートフォリオ上でこの2つのパターンを組み合わせていけないという理由はない。オーダーメイド開発の場合には顧客プロダクトオーナーを選択し、複数の顧客がいるようばプロダクトの場合は顧客プロキシを選択しよう。
それでは。