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新しいふりかえりのやり方『闇鍋』
みなさんこんにちは。@ryuzeeです。
ふりかえり(スクラムだとレトロスペクティブ)には、いろいろなやり方があります。
いちばんよく使われているのは、KPTと呼ばれるもので、Keep(続けること)、Problem(問題となっていること)、Try(次にやってみること)に分けて書き出すアレです。他にも、スプリント中の出来事を時系列で見える化して問題を探るタイムラインや、最近生み出されたFun Done Learnといったものがあります。
これらのやり方で難しいのは、以下の3つの点です。
- いろいろ出てきた項目のうち、どれに取り組むべきなのかを決めるのが難しい
- 決める過程で、声の大きい人に発言が集中したり、同調圧力的な力が働いてしまう
- スプリントを繰り返していると選ばれるアクションアイテムが似たものばかりになってしまう
そこで、今日は、僕が勝手に『闇鍋』と呼んでいるやり方を紹介します。ここでは1週間スプリントを採用していて、レトロスペクティブの時間は1時間を想定しています。
事前準備
あらかじめ以下のものを用意しておきます。また部屋にはホワイトボードがあるのが望ましいです。
- 人数分の付箋紙(全部同じ色にします)とペン
- タイマー
- 小さな箱やお茶缶などの入れ物
手順
では手順を説明します。やり方は簡単です。
- まず、参加者全員で5分〜10分の時間を使って、議論したいこと、改善したいことを付箋に書き出していきます
- この時間は一切黙って行なう個人作業です
- 付箋には記名しません
- 記述する付箋の枚数は全員同じにします。チームの人数にもよりますが2〜3枚が妥当です
- 書き終わったら、付箋を縦と横で合計2度折りたたんで小さくして、全部箱に入れます
- 全員が箱に入れ終わったら、よくかき混ぜて、誰か一人にランダムに1つ引いてもらいます(スクラムマスターが引いても構いません)
- **今日議論するテーマが決まりました。**ぱちぱち。
- テーマは1つなので、残りの時間を使ってアクションアイテムを検討して決定します
- 議論が終わったら、残りの付箋を開いて項目を確認しておきます
メリット
- 声の大小に関係なく、議論のネタを収集できる
- 項目を最初から絞り込むので、議論が発散しにくくなる。全部の内容を見て時間切れになるといったことを防げる
- ランダムにテーマが選ばれるので、いつも選外になってしまうようなテーマが取り上げられることもある
- 一方でみんながテーマにしたい内容が似ていれば、それが選ばれる可能性も高くなる
- 自分の意見がランダムに採用される可能性があるので、内容を真剣に考えざるをえない(場合によっては事前に考えてくるようになる)
なお、いつも同じやり方をしていると、やり方自体のマンネリ化と視点の固定による内容のマンネリ化が顕在化します。 いろいろなやり方を適宜選択するようにすると良いでしょう。
それでは。
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