プロダクトオーナーやプロダクトバックログに関するよくある質問と答え (2)
みなさんこんにちは。@ryuzeeです。
プロダクトバックログや見積りについて質問をいただく機会が続いているので、頂いた内容と僕の回答を整理して載せておきたいと思います。
初期のプロダクトバックログの作成作業は、プロダクトオーナーがスプリント開始前に一人でやるの? それとも、スクラムチーム全員で作成するの?
開発チームで作っても構いませんが、プロダクトオーナーやプロジェクト関係者との相互理解が得られる、意味のあるプロダクトバックログを作るには、プロダクトオーナーと開発チームの協力が必須です。なお優先順位の最終決定はプロダクトオーナーの専決事項です(でないと利益の最大化の責任が取れないので)。 また初期のプロダクトバックログ作成の際には、プロダクトの目的や価値が分かっていないとそもそも項目が出せないと思うので、インセプションデッキ等を使った事前整理が必要とも思われます。
プロダクトバックログへの項目は誰でもできます。 ただし次のスプリントを開始するには「Ready」なバックログが必須なので、順番の並べ替えをして上位に来るものは、プロダクトオーナーと開発チームが協力して、開発可能にしてください。
プランニングポーカーでストーリーポイントを出すときに、対象のプロダクトバックログアイテムに技術的な課題や障壁も含まれていることが少なくないと思いますが、ストーリーポイントでは不確定要素も踏まえた規模(作業量の大きさ)を設定するのでしょうか。それとも、不確定要素はできるだけ削ぎ落とした(調査タスクにして、調査作業を行った)後に、ストーリーポイントを設定するべきですか?
技術的に不明な点があるストーリーも見積もって構いません。 単に見積りの結果がアテにならないだけです。 プロジェクトの全体像を明らかにするのに見積りが必要なことが多いです。 大きすぎる見積りや、見積りの結果が「?」である、というのも貴重な情報です。 またプロジェクト初期に簡単に全体のボリュームを把握するための見積りのやり方として、Tシャツサイズといって、S,M、L、LLみたいに簡単にやる場合もあります(その結果を2,5,8,13に割り当てたりすることもあります)
やるとまずいのは、不明なことが多いプロダクトバックログアイテムを次のスプリントでいきなり着手してしまうことです。 そうすると、終わらなかったり、そもそも何をつくるかわからなくて時間がかかってしまったりムダになるので、そういうものは着手せずに、前のスプリントのうちに必要な調査をしたり準備を整えます。
Readyなバックログは大事ですが、全部のプロダクトバックログアイテムを最初にReadyにしようとしてはいけません。 あくまでプロダクトバックログの上位にあるものは、準備を十分にする、ということです。 優先順位が下の項目はそもそも実施するかどうかもわからないので、最初から詳細にしてしまうと時間のムダです。
バックログの見直し作業は、なれるまではスプリント内のイベントとして、スプリントの中間日くらいに毎回やるようにしておくとよいです。
全ての技術調査を最初に行なっておく必要もありません。 あくまでプロジェクトをブロックしてしまいそうな要素に絞ると良いです。 それから技術検証にはタイムボックスが必須です。予め使う時間を決めて、それを超えてもわからない場合は諦めるといった判断をすることが多いです。
プロダクトオーナーが忙しすぎるのですが、どうしたらいいの?
プロダクトオーナーが忙しすぎてプロジェクトにうまく関われない、というのはスクラムにおける最大のリスクの1つです。 なので、忙しい人の仕事を少なくしてあげる、または、代わりのプロダクトオーナーを用意してもらって、その人に全権を移す、といったことを考えないといけません。 例えばスプリントレビューにプロダクトオーナーが来ないとか、計画づくりにプロダクトオーナーが来ない、というのは絶対に避けてください。
それでは。