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基礎からわかる内製化

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。

2022年7月6-7日のGoogle Cloud 内製化 Dayの1日目で光栄にも特別講演をさせていただきました。

資料については、イベントページにすでに掲載されていますのでご案内します(このページにアクセスして、「公開資料」の下にある「特別講演」をクリックしてください)。


なぜ内製か?



今の世の中はソフトウェアが企業の競争力の源泉になっていますが、そこで必要なのは、「素早く」「頻繁に」「安定的に」価値を届けること、つまり安定した「価値のフロー」の実現です。 ソフトウェアの構築は知的労働であり、実際の作り手はチームです(マネージャーや管理者、経営者ではありません)。 したがって、企業としては、安定した「価値のフロー」を実現できるチームを手にいれる必要があります。

安定したフローを実現するためには、専任が必要です。複数のプロダクトやプロジェクトを同時に掛け持ちするとリードタイムが長くなってしまいます。

また、チームがチームとして機能するためには相互理解や行動規範が必要であり、集められた人たちがチームとして機能するには、時間がかかります。つまり毎回1からチームを作っているのでは時間ばかりかかって勝負になりません。チームも安定していなければいけないのです。

知的労働においては、どのようなやり方が適しているかは実際に問題解決に取り組む現場の人たちの方がよく知っています。 したがって決められたやり方にただ従うのではなく、自律的に改善をしていかなければいけませんし、そうする自由が与えられなければいけません。

そして不確実性が高い問題に取り組むには、実験や探索、学習が必要です。そのような時間を自分たちで確保できなければ徐々に身動きが取れなくなっていきます。

専任していて、安定していて、自律的で、継続的に学習できるチームに適切なミッションを与えることで、大きな成果を出せるようになります。 しかし、そのようなチームは売っていません。売っていないからこそ自分たちで作らなければいけません。これが内製の意義です。

内製の始め方



声を大にして言いたいのは、いきなり大きな計画をたてるな、という点です。大きな計画を立てたところでそのとおりにやるのは難しい(不可能)です。 何百人もの内製組織をいきなりは作れません(そういう宣言をする組織もありますが)。 いきなり大掛かりな計画をたてて宣言してしまい、多額の投資をしてしまうと、失敗を認めにくくもなります。 また、表面的に成功に見えるようにすることばかりを重視してしまい、本来手に入れたかったものは手に入らないままになったりもします。

したがって、少数のチームから始めて、効果を見ながらスケールしていくのが王道です(これはアジャイル導入でも同じです)。

小さく始めるときにいちばん難しいのは最初です。最初の段階で失敗してしまうと、組織の賛同が得られずに、その後の広がりがなくなってしまいます。 これを防ぐために、初期の段階は、内外の識者の支援を受けて、意地でも成功させなければいけません。

そして、うまくいったら、チームは壊さずに新しく増やしていきます。前述のとおりチームには安定が必要であり、機能しているチームを壊すのは大問題だからです。 最初のチームがCoEのようになって、新しいチームを支援していくのも良いかもしれません。


詳細についてはぜひ資料をご覧ください。後日動画も公開されるのではないかと思います。

それでは。