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スクラムに対するよくある偏見と本当にチームを生産的にする方法
みなさんこんにちは。@ryuzeeです。
Successful wish to do nothingとWhat makes Scrum Teams exceptionally productive?が良い記事なので抜粋・意訳にてご紹介します。
スクラムにおけるよくある偏見
- スクラムではドキュメントは何も書かない
- スクラムではアーキテクチャの設計はしない。またはアーキテクチャはない
- スクラムでは計画はしない
- プロジェクトの開始時点では、何を作りたいかは何も決まっていない
- スクラムと固定費用のプロジェクトは相容れない(※1)
- チームはチームが望むことは何でもできる
- スクラムマスターは上級管理職ではない(※2)
- スクラムはマネージャを必要としない(※2)
- プロダクトオーナーは全てのステークホルダーの代弁者である
- スクラムはシンプルだ(※3)
以上がよくあるスクラムに対する偏見だそうです。 偏見をもったままでスクラム(やアジャイル)を導入したところで良い成果は出ません。
補足
上記に関していくつか補足しておきます。
- (※1)相容れないのは、「固定費用かつ固定スコープ」のプロジェクト
- (※2)チームではもちろん自己組織化が前提なのでコマンドコントロール型の管理職は必要ではないが、組織における問題解決という点においては管理職の役割が必要である。上級管理職がメタスクラムマスターの役を担って、組織全体の問題解決にあたらないといけないことはある
- (※3)フレームワークとして規定されている内容は確かにシンプルかもしれないが、その根底にある考え方は深い洞察のもとにできているし、実際にやるのは思った以上に難しい
スクラムチームを生産的にするものは何か?
- スクラムマスターがチームが邪魔されずに仕事できるようにすること
- スクラムマスターが全てのミーティングが生産的なセッションになるようにすること
- 高いレベルでの信頼感を醸成すること。トム・デマルコによれば、その信頼感がより大きなコミュニケーション幅を作ってくれる
- 継続的なフィードバック。それによってミスを素早く発見したりそれらを修正することができるので、ミスを許容できる
- 継続的なプロダクトバックログの優先順位付け。それが集中すべきタスクのみにタスクを減らすように作用する
- チームがスプリントにおいてすぐに必要なタスクのみに集中すること。それによって生産性向上や集中につながる
- 良いレトロスペクティブ(ふりかえり)。それがプロセスの改善に結びつく
- チームメンバーが守られていると感じること。守られていると感じている人たちは新しいことに挑戦したり、より多く開発できる
- チームにおけるコミュニケーション。それは物事を記録したりすることで醸成されるのではなく、より多くコミュニケーションを取ることによってのみ醸成されるものである
- スクラムチームのメンバーが、彼らのモチベーションとなったり達成の可能性を増やしたりするようなことに貢献したいというような感情を持っていること
これを見ていると、実はスクラムという手法は、チームや組織への相互作用の仕組みであるということが分かります。 良いチームは良いプロダクトを作ることができるし、外部からの継続的フィードバックやふりかえり(レトロスペクティブ)によってチームはどんどん良くなっていきます。
良いチームは自己組織化によっても作られますが、会社組織や上級管理職の理解、社内文化改革に対する経営層の支援といった要素も欠かせません。 そして組織においてチームが適切に評価されなければいけないし、採用戦略の見直しも必要です(偏屈な職人より、コミュニケーションを取れ継続的な努力ができる人を評価し採用する。もちろんコミュニケーションを取れる職人が良いのは言うまでもありません)。
現場のスクラム実践者たちは、管理職や経営層の偏見や誤解をとくように行動していく必要があるのです。