【書評】マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた
みなさんこんにちは。@ryuzeeです。
昨日本屋で偶然積んであったので買ってみた本を紹介します。あんまり話題になっていないようですが個人的には相当おもしろいと思います。
マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた
- 著者/訳者:スコット・バークン、依田卓巳
- 出版社:新潮社
- 発売日:2015-02-18
- 単行本:304ページ
- ISBN-13:9784105068318
- ASIN:4105068318
内容としては、元々マイクロソフトでインターネットエクスプローラーの開発プロジェクトなどを務めてきたスコット・バークン氏が、WordPress.comを運営するAutomattic社にジョインして過ごした約1年半を振り返ってたノンフィクションです。 筆者は大企業での経験が長い一方でAutomattic社の社員のほとんどは大きな企業で働いたことがない、チームメンバーはグローバルに散らばっており一同に会することはめったにない、という状況下でチームリーダーになった筆者のアクションや洞察が赤裸々に語られています。
ちなみにご存知の通り、Wordpressは2003年から開発が始まり現在も続いているブログソフトウェアのデファクトスタンダードで、Automattic社のCEOであるMatt Mullenweg (マット・マレンウェッグ)が立ち上げたものです。
以下では本文の中で特に気になったところを引用で紹介します。
どれほど素晴らしいテクニックも愚かな社員を賢くすることはできないし、疑心暗鬼の職場にどんな方法を導入しても、社員が同僚や上司を魔法のように信頼しだしたりはしないのだ
あらゆる文化は小さな種から育つ。またたったひとつの決定で文化ができるわけでもない。リーダーと貢献者との頻繁なやりとりの中で、あることが強化され、別のことが排除されて、そこから文化が立ち現れるのだ
1.問題を選ぶ 2.公開通知とサポートページを書いてみる 3.成否を判断するためのデータについて考える 4.作業開始 5.公開する 6.学ぶ 7.繰り返す
イノベーションについて語る会社の初歩的な間違いは『実験』の基準を高く設定することだ。それではアイデアを試すことすらむずかしくなる。すぐれたアイデアを悪いアイデアから選り分けるのにどれほど多くの実験が必要なのかを理解していないからだ
進歩を望まないなら伝統も悪くないけれど、進歩したいなら変化が必要で、変化には伝統の再評価が必要だ。伝統が何のためにあるのか、どのように実行されているかを見直さなければならない
すべてのサービスには保守が必要だが、成長より保守に時間がかかりはじめたら、何かが間違っている
あらゆる測定法は疑念を生む。立派な意図とすぐれた頭脳があってもデータが参加者を愚かな自己破壊のサイクルにどんどん巻き込んでいく。データが物事を決めてくれるわけではない。データを注意深くとらえれば物事がはっきり見えるようになるが、それは決定ではない
何かにしゃれた呼び名をつけたからといって、人が利口になるわけではない。むしろ正確な語彙を正確な技術と思い込んで、愚かになる。あらゆるビジネスの方法論に言えることだが、問題解決の方法の問題点は、抽象概念だということだ
チーム制の副作用は必ずチームの担当から漏れてしまう分野ができることだ。チーム制は縄張りを作る。社員の集中力を高め、誇りを感じさせる点では好ましいが、チームとチームのあいだからもれるプロジェクトができて問題となる
だいたいどんな組織でも報酬が火種になることが多すぎるので、入念な業績評価システムを確立している。その結果、また別の『データの罠』が生まれる。業績評価システムが複雑になればなるほど、効率が悪くなるのだ
すぐれたリーダーの最後の仕事は、自分がいなくなったあとも万事うまくいくようにしておくことだ
ということでお勧め度★★★★★です。
それでは。