書評 スクラムを活用したアジャイルなプロダクト管理

 2012/12/01
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スクラムを活用したアジャイルなプロダクト管理―顧客に愛される製品開発

著者/訳者:ローマン・ピヒラー

出版社:ピアソン桐原( 2012-11 )

定価:¥ 2,100

Amazon価格:¥ 2,100

単行本 ( 139 ページ )

ISBN-10 : 4864010978

ISBN-13 : 9784864010979


原著者のローマン・ピヒラー氏は認定スクラムトレーナー。 こちらのブログを書かれていて僕も普段から記事を参考にさせてもらっています(かなりおすすめのブログです。ただし勿論英語)。

この本の特徴

この本の特徴は以下でしょう。

  • プロダクトオーナーの観点でScrumを説明した本で、とても簡潔(日本語版だと本文はわずか118ページ)。
  • あくまでプロダクトオーナーの軸で書いてあるので、Scrumの全てを余すところなく解説しているわけではない。
  • とはいえ、プロダクトオーナー以外のスクラムマスターや開発チームやステークホルダーが読んでも理解しやすくなっているし、プロダクトオーナーとどのようにタッグを組んでいくかというヒントになるはず。
  • テクニックではなく考え方の紹介に注力している。従って、例えばプロダクトオーナーが考えなければならない製品のビジョンを、「具体的にどのように作るか」「どんな手法を使って作るか」は書いてない。このあたりは別の書籍を参考にしたりすることになる。
  • よくある間違いのところは、よく見るなぁという例ばっかりなので、チェックしておくと良い。

総じて内容は分かりやすく良い本だと思います。

ちなみに、プロダクトに対するビジョンがあったり、熱意あるプロダクトオーナーが居たとしても、だからと言ってプロダクトが成功するかどうかは完全に別の話です。

日本の企業、特に古くからある大きいところなんかは、プロダクトの成功まで予測したがり、成功するものだけを作りたいというように考えます。しかし、いくら机上で想像したり、マーケティング分析したり、色々な計算をしても残念ながらそれは無理です。大きい未来を完全に予測することは不可能で、だからこそ、判断を早くして、頻繁にフィードバックを得ながら進む先を考えていかないといけない。早く失敗が分かることは良いことで、その失敗すら恐れるようなら得られるものも少ないということです。

どうでもいいこと

2.10.3の「しかし、どのような製品で何ができるべきだという独自の強いビジョンは持たずに、純粋に顧客主導型でなければ成功しません」がたぶん誤訳で、 「しかし、どのような製品で何ができるべきだという独自の強いビジョンは持たずに、純粋に顧客主導型ですすめても成功しません」というのが正しいはずです(原文の英文読んだので間違いないと思うけど訳者に問い合わせ中)

これはすなわち、総花的に顧客のいうことを聞いただけでは良いプロダクトは出来ないということです。もちろん聞かなくていいと言っているわけではないけれど、プロダクトとしてどのような問題を解決したいのか、どういうものを提供したいのかを抜きにして、顧客のいうことだけを聞いても整合性のあるものにはなりません。

あと江端さん、そろそろ一度くらいはスクラム道に来て下さい!!

 2012/12/01
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