ベロシティに対する誤解

 2012/03/31
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みなさんこんにちは。@ryuzeeです。

Venkatesh氏のAgile Blogの記事Velocity : Myths and Misconceptionsが良い記事でしたので、抜粋・意訳にてご紹介します。 訳文については、原文にしたがってCC-2.5ライセンスとします。

ベロシティとは何か?

ベロシティとは、決められた期間の中で、あるチームが届けることができる要求の量のことです。 非常に重要なことですが、これは固定された期間を同じチームが繰り返している場合においては正しいものですが、チームや期間が変われば、自動的にベロシティは変わります。

誤解と本当の意味

自分が過去複数のチームと関わった経験では、以下にあげるような間違った理解がチームを間違った方向に導いていました。 アジャイルコーチやスクラムマスターとして、チームがベロシティの本当の意味を理解するのを手助けし、迷信や誤解を取り去ることことはとても重要です。

  • 【誤】 ベロシティとは生産性である
  • 【正】 ベロシティが生産性を指すものではないことを覚えておいてください。生産性とはどれだけチームが忙しいかです。生産性を測定しようとする場合、測定者はチームが作ったものから生み出された価値を測定したりはしません。また、生産性は標準とも比較されます。しかしベロシティとは、特定のチームのための、特定のコンテキストにおけるもので、決められた期間におけるものです。ベロシティは、ビジネス価値と結び付けられるべきものなのです


  • 【誤】ベロシティの共通化
  • 【正】多くのリーダーは複数のプロジェクトをまたがってベロシティを共通化したり、特には組織全体で共通指標化することを考えます。しかし、これは全くもって間違いです。前述の通り、それぞれのチームは異なっており、あるチームのベロシティを別のチームに求めることはストレスを増やしモラルや生産性の低下を招き、結局は顧客へ届ける価値が少なくなることにつながります


  • 【誤】ストーリーポイントで計算されたベロシティを人日におきかえる
  • 【正】私は、多くのスクラムマスターがストーリーポイントによって測定されたベロシティを人日に変換しようとしているのを見てきました。例えば、80ストーリーポイントを60人日で行った、というようなものです。しかしこれは全くもって間違いです。この変換によってチームが顧客に届ける量が固定されてしまいます。もしチームが新たな技術や新たなビジネスドメインに取り組んだ場合、届けられる量は減少するはずなのです。ストーリーポイントを固定してしまうと、新しいチームはもがき苦しみストレスを抱えることになります


  • 【誤】ベロシティを複数チーム間で比較する
  • 【正】ベロシティは対象のチームのそのコンテキストにおいて有効なものなので、複数のチーム間で比較するのは理にかないません。Oracleテクノロジーに関するプロジェクトをしているOracleエキスパートたちのチームは、学校を出たばかりの人たちが同じプロジェクトに従事するよりもうまくやるのは至極当然です。それぞれのチームのベロシティは異なって然るべきです。チーム間でのベロシティの比較は決してしてはいけません

まとめ

もう説明するまでもありませんが、僕がトレーニングで使っている資料を晒しておきます。

ベロシティはスプリントで「完成」したプロダクトバックログ項目の見積り(ストーリーポイントであることが多い)の合計です。 ストーリーポイントとはプランニングポーカーを使って見積もられることの多い相対的なポイントです。 相対的に見積もっているので、プロジェクトによって基準は異なります。 これがプロジェクト間での比較ができない理由です。 また1つのプロジェクトが複数チームから構成される場合は、プロダクトバックログを共通にするのが定石で、この場合はチーム間の数値の違いは比較は可能です。 ただし比較したところであまり意味はありません。

ベロシティは予測のためのツールとして利用します。 スプリント回数が固定であれば、「作れるストーリーのポイント数の合計は = ベロシティ×スプリント回数」となります。 一方で、スコープが固定であれば、「スケジュール = 総ストーリーポイント数÷平均ベロシティ」となります。 作る量も期間も両方固定することはできません。 人を足せば、という考えもよく聞きますが、スクラムチームの人数が多くなればなるほどコミュニケーションコストは高くなるので、人数を増やした分の効果は線形比例しません。

参考

ストーリーポイントに関する15個のよくある質問と答え →ストーリーポイントが何を指すか分かっていないとベロシティが何を指すのか分からないはずです

ベロシティを他のチームと比較してはいけない →この記事と同じようなことを既に書いていました

それでは。

 2012/03/31
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