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ryuzeeによるブログ記事。不定期更新

アジャイルプロジェクトを成功させる19の鍵

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。

Jesse Fewell氏のThe 19 Keys to Successfull Agile Projectsより。 アジャイルなプロジェクトを成功させるために考えるべきことが19個紹介されているので、抜粋・意訳にてご紹介します。

  • 正しい理由でアジャイルを採用すること
    • ハリーポッターのように、悪の魔法使いがすごい魔法を使うと彼ら自身が滅びてしまう
  • アジャイルをやってみたいと思うチームと始めること
    • 抵抗する人に対してパイロットとして努力することを強制してはいけない。チーム自身でアジャイルを採用させるようにしなければならない。それから、彼らの期待する内容を決めなければならない。「本当にやりたいって?本当に危険な取り組みなんだよ。やっても良いけど1スプリントだけだよ!」
  • スクラムに対して現実的な期待をすること(非現実的な期待をしないこと)
    • 「スクラムは悲惨なプロジェクトを救ってくれる」なんて言ってはいけない。そういうプロジェクトだったら、単にプロジェクトをリスタートさせて、空気のきれいな部屋で3〜5スプリント与えてみよう
  • できる限りの間、アジャイルへの取り組みはパイロット的な取り組みであると言っておくこと
    • パイロットは大変だとみんな思うだろうし、パイロットプロジェクトであれば参加者の長い目でみたキャリアには何の脅威ももたらさないだろうから
  • 変化は多くの人にとって脅威であることを理解すること
    • 望まない状況下においては、人々は自身を安定した予測可能な状態になるように自分を守ろうとする。変化を紳士的に伝えよう。「スクラムは我々にとって正しい方法でないかもしれない。でもやってみなきゃ分からないじゃないか。だから1スプリントだけ正しくやってみないか?もし我々にとって何かメリットがあれば、もう1スプリントやってみようそれもやり方の1つだよ。これが唯一のやり方じゃないけどでもちょっとは我々の助けになるかもしれないよ」
  • 我慢することは美徳である
    • 1チームから始めて、そこから徐々に増やしていこう。把握している問題に対して20チームが同時にもがくようなことをしてはいけない。かわりに1つのチームが先駆者となって問題を解決してほかのチームがその問題に直面しないようにしてあげた方がよい
  • スクラムの中庸を見つけよう
    • ある意味、私の仕事は劇的な変化を純粋に提唱し、言いにくい事実を言い、それから彼らの状況下において、彼らにあったプラクティスを作り上げるように励ますことだ。しかし、多くの組織は変化を希薄にすることで、変化の痛みに対応しようとすることに気をつけよう
  • スクラムは難しい
    • スクラムはあなたたちのたくさんの嫌な問題を表面化させる。もしスクラムが明らかにする問題に対して対処する準備ができていないなら、スクラムを続けるのは難しいだろう
  • 経験者の力を借りる
    • コンサルタントは首になることを恐れていないし、もちろん部門の行動計画が用意されていないことも恐れていない
  • 十分なトレーニングを受ける
    • アジャイル適用の失敗は週末に本を読んだだけの人が行ったような初期のトレーニングと関係していることが多い。誰か1人を本当に良いトレーニングに行かせる方が、20人を悪いトレーニングにいかせるよりよほど良い
  • あなたの敵はあなたの仲間だ
    • スクラムが好きな人に対しては多くの時間を使うことはない。あなたの主たる抵抗者をスクラムのステアリングコミッティーに据えなさい。もし彼らが参加しないと、彼らはスクラムがどのように作用するか知る機会を逃してしまうし、置き去りにされた気になってしまう。もちろん、彼ら抵抗勢力は、アジャイルの適用の成功に対する主な妨害要素についてあなたが理解するのを助けることにもなる
  • ゲリラ的な戦略を用意する
    • 管理職があなたの問題を解決してくれない場合でも、時には自分たちで問題を解決しよう
  • 守り神を見つけよう
    • 「やってみろ」といってくれる上級管理職が必要だ。会社のルールを曲げなければならなかったり、特別な予算が必要になったときが守り神の出番だ。実際のところ、多くの経営者たちは多くのプロジェクトで失敗してきた経験から、アジャイルなアプローチを試すことを切望しているのだ
  • 良い情報への容易にたどり着けるようにしよう
    • メール、ランチミーティング、スタッフミーティングなどを使って良い情報のしっかりした流れを確立しよう
  • 早い段階から頻繁に結果を測定しよう
    • 良い結果も悪い結果もみんなに見せよう。ビジネスと技術の両方の観点で測定することが必要だ。顧客満足度やチーム満足度をはかるための調査も必要だ
  • 自分たち用にいじくりまわしたいという衝動は大きい(だろうがよく考える必要がある)
    • 自分たち用に仕立てることと、中途半端にやることの違いをはっきり示そう ピートはCricketButというゲームについてこう述べている。「我々はクリケットをやっているけれど、競技場でではなく、我が家のリビングルームでやっている。三柱門(クリケットの投球場所)の代わりに、我が家の犬を塚ている。そしてボールの代わりにおもちゃの積み木を使っている。バットの代わりに頭を使っている。ちょっとプレイしたらたぶん流血事件になるだろう。仕事に置き換えてみても、同じことだ。」
  • ツールは慎重に選ぼう
    • 「どのツールを使うべきですか?」なんて聞かないこと。そうではなくて「我々にツールが必要だと思わせるどんな問題を解決するべきですか?」と聞くこと
  • スクラムチームだけでスクラムを止めるのはやめよう
    • スクラムは組織的なフレームワークだ。一部の場所ではチームは成功を収めることが多いかもしれないが、組織には悪い習慣が積み重なっており、成功は本当の意味では実現されていないのだ。あなたはチームとしては結果を出すことはできるが、最終的な顧客に対して価値を届けられていないとしたら誰がそれをケアするのか?
  • スクラムはいつも面倒だ
    • アジャイルの活動は人と人の行動の土台になっている。人は完璧じゃないし、我々のプロジェクトも同じように完璧ではない。あなたはいつも矛盾や誤りをおかしながら挑戦していくのだ。「先月よりはうまく行ってるかな?」と自問してみよう

アジャイルコーチングやトレーニングを提供しています

株式会社アトラクタでは、アジャイル開発に取り組むチーム向けのコーチングや、認定スクラムマスター研修などの各種トレーニングを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

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  • スクラム実践者が知るべき97のこと
  • 著者/訳者:Gunther Verheyen / 吉羽龍太郎 原田騎郎 永瀬美穂
  • 出版社:オライリージャパン(2021-03-23)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラムはアジャイル開発のフレームワークですが、その実装は組織やチームのレベルに応じてさまざまです。本書はスクラムの実践において、さまざまな課題に対処してきた実践者が自らの経験や考え方を語るエッセイ集です。日本語書き下ろしコラムを追加で10本収録
  • プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける
  • 著者/訳者:Melissa Perri / 吉羽龍太郎
  • 出版社:オライリージャパン(2020-10-26)
  • 定価:¥ 2,640
  • プロダクト開発を作った機能の数やベロシティなどのアウトプットで計測すると、ビルドトラップと呼ばれる失敗に繋がります。本書ではいかにしてビルドトラップを避けて顧客に価値を届けるかを解説しています。
  • SCRUM BOOT CAMP THE BOOK 【増補改訂版】
  • 著者/訳者:西村直人 永瀬美穂 吉羽龍太郎
  • 出版社:翔泳社(2020-05-20)
  • 定価:¥ 2,640
  • スクラム初心者に向けて基本的な考え方の解説から始まり、プロジェクトでの実際の進め方やよく起こる問題への対応法まで幅広く解説。マンガと文章のセットでスクラムを短期間で理解できます。スクラムの概要を正しく理解したい人、もう一度おさらいしたい人にオススメ。
  • みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた
  • 著者/訳者:Matt LeMay / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン(2020-3-19)
  • 定価:¥ 2,640
  • アジャイルで本当の意味での成果を出すには、開発チームだけでアジャイルに取り組むのではなく、組織全体がアジャイルになる必要があります。本書にはどうやってそれを実現するかのヒントが満載です
  • レガシーコードからの脱却 ―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス
  • 著者/訳者:David Scott Bernstein / 吉羽龍太郎、永瀬美穂、原田騎郎、有野雅士
  • 出版社:オライリージャパン( 2019-9-18 )
  • 定価:¥ 3,132
  • レガシーコードになってから慌てるのではなく、日々レガシーコードを作らないようにするにはどうするか。その観点で、主にエクストリームプログラミングに由来する9つのプラクティスとその背後にある原則をわかりやすく説明しています。
  • Effective DevOps ―4本柱による持続可能な組織文化の育て方
  • 著者/訳者:Jennifer Davis、Ryn Daniels / 吉羽 龍太郎、長尾高弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2018-3-24 )
  • 定価:¥ 3,888
  • 主にDevOpsの文化的な事柄に着目し、異なるゴールを持つチームが親和性を高め、矛盾する目標のバランスを取りながら最大限の力を発揮する方法を解説します
  • ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント
  • 著者/訳者:リチャード・シェリダン / 原田騎郎, 安井力, 吉羽龍太郎, 永瀬美穂, 川口恭伸
  • 出版社:翔泳社( 2016-12-20 )
  • 定価:¥ 1,944
  • 米国で何度も働きやすい職場として表彰を受けているメンローの創業者かつCEOであるリチャード・シェリダン氏が、職場に喜びをもたらす知恵や経営手法、より良い製品の作り方などを惜しみなく紹介しています
  • アジャイルコーチの道具箱 – 見える化の実例集
  • 著者/訳者:Jimmy Janlén / 原田騎郎, 吉羽龍太郎, 川口恭伸, 高江洲睦, 佐藤竜也
  • 出版社:Leanpub( 2016-04-12 )
  • 定価:$14.99
  • この本は、チームの協調とコミュニケーションを改善したり、行動を変えるための見える化の実例を集めたものです。96個(+2)の見える化の方法をそれぞれ1ページでイラストとともに解説しています。アジャイル開発かどうかに関係なくすぐに使えるカタログ集です
  • カンバン仕事術 ―チームではじめる見える化と改善
  • 著者/訳者:原田騎郎 安井力 吉羽龍太郎 角征典 高木正弘
  • 出版社:オライリージャパン( 2016-03-25 )
  • 定価:¥ 2,138
  • チームの仕事や課題を見える化する手法「カンバン」について、その導入から実践までを図とともにわかりやすく解説した書籍。カンバンの原則などの入門的な事柄から、サービスクラス、プロセスの改善など、一歩進んだ応用的な話題までを網羅的に解説します。
  • Software in 30 Days スクラムによるアジャイルな組織変革“成功"ガイド
  • 著者/訳者:Ken Schwaber、Jeff Sutherland著、角征典、吉羽龍太郎、原田騎郎、川口恭伸訳
  • 出版社:アスキー・メディアワークス( 2013-03-08 )
  • 定価:¥ 1,680
  • スクラムの父であるジェフ・サザーランドとケン・シュエイバーによる著者の日本語版。ビジネス層、マネジメント層向けにソフトウェア開発プロセス変革の必要性やアジャイル型開発プロセスの優位性について説明
  • How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜
  • 著者/訳者:Jurgen Appelo, 前川哲次(翻訳), 川口恭伸(翻訳), 吉羽龍太郎(翻訳)
  • 出版社:達人出版会
  • 定価:500円
  • どうすれば自分たちの組織を変えられるだろう?それには、組織に変革を起こすチェンジ・マネジメントを学習することだ。アジャイルな組織でのマネージャーの役割を説いた『Management 3.0』の著者がコンパクトにまとめた変化のためのガイドブック